第2回:宇宙の果てについて

 宇宙の果てってどこだろう? 不思議な星空の、無限遠の彼方を科学的に考えてみよう !

 

 さて、宇宙時代となった今も、遥か昔、メソポタミアの遊牧民達が地上から眺めた星の世界の風景も、殆ど変わっていない。何が違うかと言うと、科学的な観測技術の進歩によって、肉眼でしか見る事の出来なかった宇宙に対し、肉眼では見えない天体の実写映像や、観測データ、そして物質をつくる素粒子の究極像が解ってきた事である。

 

 一たび地球を離れると、星の世界である宇宙が延々と広がっている。 そして宇宙を考えるのは人間の頭脳であり、コンピューターではない。コンピューターが作り出す宇宙像は、入力された観測データによって導き出される、いわば数式に基づくグラフィック・ビジュアライゼーションである。

 

 さて皆さんは、宇宙をどのように理解されているだろうか。ただ広がっているとしか言いようがないのか、銀河系の一部にある地球を含む途方もない器なのか否か、銀河という恒星群の渦巻きや楕円体が無数にある領域、etc.

 

 現在では、宇宙は物質、空間、重力波、その他のエネルギー、時間、プラス人間の頭脳で構成されており、目視観測では銀河系内の星々の向こうは、銀河の群れだけが映る。およそ138億年前に、特異点がインフレーションにより、質量的に無から有へと転移し、突如 ビッグ・バンという途方も無い破裂(超ブラック・ホールからの噴出?)によって生じ、現在も膨張を続け、その途上にあるとされている。一般人の常識では、何も無い「無」(虚数の世界)から宇宙の全物質が生じたなど言う事は、あり得ない話であるが ・・・。そして瞬時に物質が作られ、空間が生じ、重力(波)が介在し、エネルギーが飛び交い、時間が流れた、・・・ まではよい。

 

 プラス「人間の頭脳」という考え方は、人間がいてもの事を考えるから、そこに初めて「宇宙」が存在するとする、「人間原理」の考え方に基づく。これを省くか省かないかは人それぞれ自由であるが、人間がいなくなれば、当然「宇宙の存在感」も意味が無くなる。

 

 さて、科学的な実態として捉える観測事実に基づく「真理」はどうなのだろうか。次の事柄から、あなたは、どのような宇宙像を描きますか?

  1. 宇宙全体が膨張しており、観測できる限り、遠距離ほど相対的に膨張速度は速く、光速度に近づいてゆく。ただし光速度を越える事はない。
  2. 目視できる遠距離の天体ほど、より過去の姿であり、宇宙開闢の138億年前の姿を限界に、それより古い天体は無く、138億光年より先には、物質も空間も存在しないことになる。
  3. 138億光年先に今いる宇宙人は、相対的にみて、私達のいる距離(場所)においてはビッグ・バン当時の姿を観測していることになる。
  4. 観測される銀河群を全てインプットし、その姿をコンピューターに描かせると、ネットワーク状となり、私たちの脳細胞のニューロンのネット・ワークに酷似する。
  5. 宇宙の膨張速度が、光の速度に近づけば近づくほど、それに伴う運動物体内での時間の経過は間延びし、質量は限りなくゼロに近づく。
  6. 宇宙のある領域で、あらゆる物質が超高密度を経てぎゅうぎゅう詰めになれば、光速度をも飲み込む重力崩壊の著しい超高温の素粒子群だけの濃密な暗黒体となり、いわゆるブラック・ホールを生じる。ブラック・ホールは成長し、合体を繰り返せば、宇宙の物質全てがそこに収束し、私達の宇宙は終わる。

 

(2009.9.18 記す)

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